ヘンリー・キッシンジャー
長らくお目にかかっていなかった,元アメリカ国家安全保障担当大統領補佐官・国務長官のキッシンジャーさんがテレビ出演されていました。現役時代は,まさに真のネゴシエーターといった活躍で国際関係・外交を牛耳ってきました。
表の発言と陰の根回し,深く広い情報網と透徹した洞察力。その緻密な考察に基いた行動は自身の辿ってきた運命がその根底に横たわっていると思います。
ドイツ生まれでユダヤ人の彼の一家は裕福だったそうですが,あのヒトラー支配のもと反ユダヤ人政策を推し進めるナチスが政権を掌握したために運命が一変したのでした。一家はナチスを嫌って1938年にアメリカへ移住し、1943年に帰化します。
ニューヨーク市立大学シティカレッジを卒業後、第二次世界大戦にはアメリカ軍情報部の士官として参戦し、戦後母国のドイツに駐留したのです。母国に残っていた親類たちはナチスに殺害されていました。
こういった"絶対というものは無い"流転体験が,彼の人格を形成していくのに大きな影響を与えたでしょう。その後政界に入った彼の活躍は目覚しいものがありアメリカを引っ張っていきました。
キッシンジャーの言葉はいつも含蓄があります。
今回日本という国家についてどういう感想を持っているか?との質問に「日本について,とても特異なのはコンセンサス形成に長い時間を要するが一度決まると一致団結してすばやい実行力がある。この和の精神を尊ぶ日本は最もユニークな国の一つである。」
さらに政治とは?という問いには「政治は,理想と現実のバランスを取る芸術だ。平凡な政治家は近いところでバランスを取る。一方優れた政治家は限りなく遠いところでバランスを取る。その距離感が腕の見せ所である。」
なんとも考えさせられる言葉、さらに彼の実績がその言葉に重みを加えます。
こういった政治家が一人でも日本から出てほしいものです。
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