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「源氏物語と東アジア世界」...河添 房江

 

日本固有の美意識の源流として称揚されてきた『源氏物語』ですが、果たして、本当に和の文学の極地と言えるのか。

7歳で異国人である高麗人と出会い、その予言を起点に権力への道を歩みはじめた光源氏の物語を、東アジア世界からの<モノ・ヒト・情報>を手がかりに捉え直す今までに無い異色の試みですね。

欧米人の『源氏物語』の捉え方を著者は、、「論語」「孟子」「紅楼夢」などと同列に語られる古代東アジア世界に屹立するヒーローといいます。

確かにこの本で紹介されるいくつもの事例、たとえば唐物や高麗からの物。たとえば唐物は、香料・貴木・染料・陶土・薬品など、高麗(正確には渤海国とか..)からは大虫皮・豹皮・蜜などがもたらされたそうです。そして代りに日本側からは絹・糸・綿などの繊維や後には奥羽地方でとり始められた金などが対価となったそうです。

さらにそれらの国の人たちとの交流。それが源氏物語に幾度となく登場しては、権威付けに使われたり物語の展開を左右したりしています。

それにしても、遣唐使が途絶えた後でも、民間レベルでは貿易が続いていて、朝廷はそれらの物資のやり取りに規制を設けたりして管理しながらそれらの物を自分たちに取り込もうとしたりしていたんですね。生々しい世情がよみがえって立体的に源氏物語をとらえていけそうな大変参考になる本でした。

東アジアの文化圏やその平和については姜尚中教授の著書を読んできましたが、そのタイムスパンを大きく越えた千年以上も前から濃密な交流が、国境を越えて海を渡って一般レベルで行われておりそれが源氏物語にも影響を与えているとしたら想像をはるかに超えた壮大な小説と言えるのではないでしょうか。

そして今回はじめて河添 房江さんの本を読んだのですが、著者の研究範囲は広く深く、本当に源氏物語を愛しているのだと実感いたしました。

この本の中で紹介されていた紫式部の生涯についても興味が沸いてきました。越前に父と一緒に引っ越して過ごしそこで高麗人などと触れ合った経験の場面が印象的でした。引用されていた杉本苑子さん著の「散華(上巻) ,(下巻)」を是非読んでみたいと思っています。

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