綿矢りささんが読売新聞の書評委員に
「夢を与える」から、小説をまだ書いていないりささんですが、読売新聞で書評を書いていることを知りました。彼女の文や記事に触れるのは「綿矢りさ x 篠山紀信 in 論座」以来かもしれません。

いままでの、書評は下記のとおりです。
『失われた時を求めて 第1巻』マルセル・プルースト ステファヌ・ウエ 中条省平
その中から、いくつか彼女らしい表現を拾ってみます。
本書を読んでから「ペット・サウンズ」を聴き直した。アルバムの歴史的価値やブライアンの人生を知ったからというよりは、60年代という時代に憧(あこが)れを感じたからだ。ビートルズやディズニーランドが生み出され、サーフィンの流行った時代。60年代に対して私は、さびしくない日暮れ、空を暖かい色に染めるたっぷりした夕陽のイメージを持つ。特に「素敵じゃないか」という曲を聴いたときに、一度聴いたときよりも陽気なメロディのなかに儚(はかな)い美しさを見つけて胸を打たれた。.....「ペット・サウンズ」
彼女独特の乾いた表現で、はかなさを描いています。
登場人物たちのアメリカン・ジョークが、くすぐったくて懐かしい。ちょっと肩をすくめる仕草が似合うような、しゃれた会話。昔好きだった吹替の青春ドラマをもう一度見ているような気分になる。複雑な恋愛模様ではなく一組の男女の恋だけを追う。きっと著者が、特別で刺激的な恋愛こそ描く価値がある、と思っていないのだ。....「君を想う夜空に」
なんとなく彼女自身のことを書いているように思えます。
プルーストのコミック版の書評では、そうそうに小説版を読み始めて断念してしまったことが正直に書かれています。そして面白いことに、気になっていたフレーズだけを探してページを捲ったとか。これもなんとなく彼女の面白いところが現れていますね。彼女のサイン会で、人となりに短い時間触れただけですが、この短い書評からその時の彼女の印象が思い起こされてきたのでした。
これからも、彼女の書評やどんな本を取り上げるのか楽しみです。
大学生のとき、原作をわくわくしながら読み始めて、早々にあきらめた。難しかった……。それに長い。著者プルーストの自伝的小説なのだが、彼の人生が全十三巻分(集英社文庫刊)のドラマみたいだったわけではなく、彼が自分の内的世界のことを、綿密に綿密に書いた結果、長大な物語になった。だから読んでいる方も感覚を研ぎ澄ませ集中して読まないと、作者の考えていることがすぐ分からなくなってしまう。結局、「マドレーヌ」の文字だけを探した。あの有名な「マドレーヌを紅茶に浸したときに過去の記憶が膨大な量でよみがえってきた」の箇所(かしょ)だけを読むためにだ。見つけてから、これは本当にすごい本なんだと確信した。だって有名なところだけ読んでも意味が分からない。 ....『失われた時を求めて 第1巻』
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