ついに来る時が来たというのが将棋ファンの実感ではないでしょうか? 第18回世界コンピュータ将棋選手権の優勝者(?)激指と準優勝の棚瀬将棋が、エキシビジョンマッチながらアマチュアトップの加藤幸男さん・清水上徹さんを連破、歴史的な一歩を見せたといっても過言ではないでしょう。2006年3月8日に、清水上さんは東京・新宿の工学院大で行われた情報処理学会の席上での公開対局で激指に勝っており、また昨年の同世界コンピュータ将棋選手権大会では加藤さんは優勝のYSSとのエキシビジョンマッチで途中温泉気分での勝利を収めています。それらと比較すると、雲泥の差、この進化がどの辺から来たものなのか...
大会前のインタビューで、お二人は以下のように答えています。
★激指(鶴岡さん)
Q.今年の主な改良点は?
A.さらに狭く深く読むように改良した。
Q.その効果は?
A.20手以上読めるようになっていると思うが、良い点と悪い点があるので、何とも言えない。
★棚瀬将棋(棚瀬さん)
Q.今年の主な改良点は?
A.評価関数の評価項目を増やして精度を上げる改良を行った。
Q.その効果は?
A.効果はあったと思うが、拙い点も見つかって、ドーピング(手動改良)も行った。昨年のものよりは強くなったと思う。
持ち時間15分、以降は30秒の秒読みという人間にはあまり好条件とはいえない対戦ではありますが、指し手の内容も素晴らしく決してフロックではないことを印象付けたと思います。今後、ソフトvsアマチュアトップの対戦をどんどん見せて欲しいものです。ソフト制作者によりますと「まだまだ弱点・穴がある」(激指開発・鶴岡慶雅さん)とのことで、対戦数が増えていくとその穴を衝いていくことも人間側には可能かもしれません。そのような切磋琢磨を期待したいというのが、傍観するファンの心理ではないかと思います。
なお、小谷善行さんによると2007年時点でレーティングを比較するとアマトップが2592でBonanza= 2330-2444、激指=2302-2416だったとしています。今回の戦いぶりから、将棋ソフトのトップクラスも2500台まで力をつけたと言えるかもしれません。
本戦決勝リーグでは、6回戦で棚瀬将棋(先手)と激指(後手)が対戦、終盤のねじりあいの末なんと時間切れの反則で棚瀬将棋が負けたのが、最後まで順位に響いた激戦でした。
下記は、その終局の局面です。

ここで、不思議に思われる方もいると思いますが、ソフトの場合持ち時間が無くなってきた場合、ほとんど思考時間ゼロでも指せるものです。この辺のからくりはどうも「消費時間は対局サーバーの返した時間によるという規定があり、対局サーバーから送られている消費時間は棚瀬将棋で確かに受け取っていたようですが、棚瀬将棋内部で消費時間の処理のどこかに間違いがあったようです」とのことです。大変残念な原因でしたが、両ソフトがほとんど実力が拮抗していたことを証明したと思います。
その他、見所の多い大会でした。三回戦のボナンザ(BONANZA)と柿木将棋は、250手に及ぶ大熱戦。BONANZAが柿木に入王を許したのですが、勝負手を連発し詰み上げました。
激指vs備後将棋は、備後が最終盤激指を追い詰めました。156手目に8六に桂を打てばこの一局を制していたかもしれませんでした。
激指vsYSSでは激指がプロっぽい差し回しを見せ、またYSS vs BONANZAでは、BONANZAが得意の穴熊でつぼに入った戦いを見せました。
来年も、この大会の注目度が上がるように期待したいと思っています。
[参考]
大会詳報---詰将棋メモ
「コンピュータ将棋の頭脳」..小谷善行
daichanの小部屋「衝撃」 <片上大輔五段ブログ>
大きな話題と小さな話題 <遠山雄亮四段ブログ>
読売新聞: その名も「激指」…将棋ソフト、人間に勝つ
将棋ソフトの強さを競う第18回世界コンピュータ将棋選手権(コンピュータ将棋協会主催)が3日から5日まで千葉県木更津市で行われ、「激指(げきさし)」(開発者=鶴岡慶雅氏など)が3度目の優勝を飾った。 Click here to find out more! 大会には国内外の40ソフトが参加していた。 最終日の5日、恒例のソフト対アマトップの公開対局
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