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「日本文化としての将棋」 編著 by 尾本恵市


国際日本文化研究センターという、難しそうなところが「将棋の戦略と日本文化」というテーマで共同研究した成果をまとめた一冊ということで、興味を惹かれ手にとって読んでみました。

「日本で独自の発展をとげ、ユニークかつ複雑な盤上ゲームとなった将棋。その歴史を数々のエピソードをまじえて紹介し、そのゲーム性、戦略性、社会性などをプロ棋士や専門研究者らが語り尽くす、将棋の文化史」と銘打っています。

特にインドの古代ゲームのチャトランガから発展し、唯一日本の将棋のみ持ち駒使用ルールという大発明を採択しそのため現在においても情報量が飛躍的に多く複雑で知的刺激に満ちている将棋が生まれるまでの歴史が興味深い。

それ以前は、平安将棋、平安大将棋、鎌倉大将棋、中将棋というものも存在し、駒数が 百以上ある将棋もあったのですが、これらの将棋には持ち駒使用のルールは無かったとのこと。将棋には現在に至るまでの発見の歴史があるわけなのです。ただその歴史は思っているほど解明されていません。そのひとつの理由として将棋の駒や盤が木で出来ているため土中で腐敗が進行するため遺跡を発掘しても残存しているのが難しいとのことです。

この本は、将棋に興味を持つ各執筆者が論文発表のような形態をとっています。中でも興味深かったのは、江戸時代に和算と詰将棋がほぼ同時期に急激に発展したことの関連性を示した伊達宗行さんの論文、水無瀬神社に保存されている水無瀬兼成の駒日記の分析を行った熊澤良尊さんの論文、将棋とチェスの比較論を展開した旦代晃一さんの分析に興味を持ちました。

現在将棋および詰将棋の世界の発展は素晴らしく、特にコンピューター将棋やインターネットの進化も交えてもっとこのゲームがより深く多角的に分析されていくことを望みたいですね。

特に詰将棋作品(フェアリー詰ということもはじめて知りました)やプロアマを問わずに全ての将棋棋譜と定跡のデーターベースの整備とそれらの一般開放を望みたいですね。これはチェスの世界ではすでに行われているとのことで"知の集積"として後世に残していくべきではないかと本書を読み思いました。

執筆者:
尾本恵市、小暮得雄、伊達宗行、笠谷和比古、羽生善治、谷川治恵、木村汎、木村義徳、清水康二、佐伯真一、増川宏一、竹村民郎、早川聞多、十時博信、旦代晃一、飯田弘之、米長泰、入江康平、熊澤良尊、谷岡一郎、山田奨治

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コメント

プロはプロの棋譜を的確に整理し、大いに活用する が、活躍する上での必須みたいになっているようですが。棋譜は、将棋連盟の一大財産であり、解放は容易ではないかな。
名人戦を除くタイトル戦は、無料?!でリアルタイムで鑑賞出来る時代ではありますが…。開放しなくとも良いかなとも思います。ただ、門戸を広げるというか、国際普及・女性普及は大いに連盟には頑張ってもらいたいものです。

投稿: ケトルシステム | 2008年8月21日 (木) 00時12分

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