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「薔薇いろのメランコリヤ」 by 小池真理子

振り返ってみたら最近読んでいる小説のほとんどが、女流作家の作品でした。桐野夏生、小川洋子、塩野七生、綿矢りさ、高樹のぶ子...
男性小説家の作品は、小説というよりも随筆やエッセイといったものが多く、かろうじて村上龍さんや渡辺淳一の作品を時々手にするくらいになっていました。

今回読み出したのは小池真理子さんの作品。ただ彼女の長編作品を読破するのは今回が初めてでした。
長編と断ったのは、彼女は多くの小説を書いていて、週刊誌に連載しているものも多く、断片的ながらその文章に触れてはいたのです。

この「薔薇いろのメランコリヤ」も、"マリ・クレール"に連載されていた作品のようですが、女性向けの雑誌ということもあり、女性読者を中心に語りかけるような気持ちで書いたと思います。

30代の若い男性詩人の才能を見出し発掘した、著名で美人の40代女流詩人と、その20代の若手秘書との三角関係を描いた小説と、書いてしまうとありふれた恋愛小説のような感じを受けてしまいますが、この作品はそういうありふれた構図ながら、恋愛を通じて人間を見つめ、深い人生を、生きる意味を問いかける小説で、とても楽しめた一冊でした。

40代の女流詩人新川エマは、夫の残した巨額の財産と自身の才能と美貌で、詩人として成功するのですが、そういう彼女に言い寄る男性も多くそして彼女も奔放な付き合いを繰り広げ、また作品の糧としていたのです。
偶然のきっかけから、エマと出会い波長があうことで秘書となった主人公の野乃。もともと家出をくりかえしていたような女学生だった彼女は、秘書といっても特に才能が有るわけではなく、エマに付き添い、そして彼女から見放された、しかしながら魅力的な男性の誘いにも乗り、男性を共有することになるのです。
 
そこに現れた名も無い詩人の卵、寺岡晋平、「目の奥の奥にね、イノセントな光があったの」とエマは、晋平の才能も見出し初版本「毒」の出版に尽力し、そして一気に晋平との純愛に落ちていくのです。
この辺りの奔放な男性遍歴からの純愛への逆流、これを全く不自然に感じさせないあたりが小池さんの力量ですね。
そしてエマのそのような変身に、そして晋平も野乃も、コバンザメのようにエマに寄り添い生きている共感からか、野乃も晋平に自分をぶつけ深い恋に落ちていくのです。

第二詩集「虚空」の出版も終えたころ、三人は、情事の顛末・不協和音の綻びを、つくろい難いものと認め、晋平と野乃は、エマの元から離れていくのです。

打ちひしがれたエマは、睡眠薬自殺未遂を図り、その病床で野乃に、「あなたと共有できない男なんて、この世にいないと思ったけれど、ちゃんといたじゃないの。笑っちゃう」と打ち明けます。

愛する余り、晋平とも別れた野乃は、パリに、そしてエマも、晋平も別々の人生を歩む、その過程での甘美で残酷な愛、そして22年後に晋平と再会した野乃、振り返って今頃になって、当時の思い出が薔薇いろに輝き始めている懐かしさに満たされるのでした。

久しぶりに恋愛小説的作品を読みましたが、この作品感傷的に陥ることなく、ただし深い心象も描かれていて、登場人物が魅力的で印象深い作品でした。 

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