« 時間差攻撃奏功、NHK杯将棋: 行方尚史八段vs阿久津主税七段 | トップページ | 思い出した、斎藤次郎・元大蔵事務次官って、あのノーパンしゃぶしゃぶ事件で辞任した人 »

神々の乱心 : 松本清張


神々の乱心を読み終えました。といってもこの作品は松本清張さんの遺作で、未完の小説です。文庫本で上下二冊に及ぶ大作ですが、物語の最後の部分が書き終えられずに世を去ってしまいました。
しかしながらこの小説を連載していた週刊文春の編集者・藤井康栄さんに大よその結末を話していたようで、そのインタビューも併せて読むとほとんど完結した小説として味わうことができました。
 

昭和8年。東京近郊の梅広町にある「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。特高課第一係長・吉屋謙介は、自責の念と不審から調査を開始する。同じころ、華族の次男坊・萩園泰之は女官の兄から、遺品の通行証を見せられ、月に北斗七星の紋章の謎に挑む。

藤井さんによると、この小説は松本清張さんが若いころから構想を練っていたようで、いつもながらの緻密な取材と時代考証を重ねていて、読者を昭和初期の独特な世界へひきこみます。
捜査とともに事件は大きく展開し、新興宗教・皇室・満州・阿片・陰陽道・卑弥呼といったキーワードが現れる時間・空間・階級に渡る壮大な広がりを見せます。

なおこの小説は、原武史さんによって松本清張の「遺言」という本で解説されているようで、それを読まれた六条亭の東屋さんによると、月読命(ツクヨミ)を祭神とした「月辰会」は、実はツクヨミが秩父宮に擬せられるとともに、昭和天皇の皇位を秩父宮がつぐことを画策して、皇室の女官に近づき、いずれ二・二六事件をモデルにしたクーデター事件がクライマックスになったという推論があるようで、これは清張による近現代史分析の遺言と考えられるとのことでした。

生前氏の講演会を近江八幡市で聞いたことがありましたが、冷静に時代を見据える洞察力は説得力があり惹きこまれました。その時間を思い出しつつ偉大な小説家、歴史家の清張さんの作品に触れる喜びを感じる作品でした。

松本清張の「遺言」も引き続き読まなければいけませんね。


|

« 時間差攻撃奏功、NHK杯将棋: 行方尚史八段vs阿久津主税七段 | トップページ | 思い出した、斎藤次郎・元大蔵事務次官って、あのノーパンしゃぶしゃぶ事件で辞任した人 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/196957/46547038

この記事へのトラックバック一覧です: 神々の乱心 : 松本清張:

« 時間差攻撃奏功、NHK杯将棋: 行方尚史八段vs阿久津主税七段 | トップページ | 思い出した、斎藤次郎・元大蔵事務次官って、あのノーパンしゃぶしゃぶ事件で辞任した人 »