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第68期名人戦七番勝負 羽生善治名人 vs 三浦弘行八段の戦いを総括する

羽生善治名人に挑んだ三浦弘行八段の戦い、ストレートの四連勝で羽生善治名人の防衛に終わるという結果から見ると一方的な戦いに思えますが、一局一局の内容は見ごたえのある白熱したもので際どい大接戦でした。
 
「まず一勝を」と、14年前に当時の羽生七冠から棋聖を奪った実力者にとっては、謙虚な姿勢で臨んだと思われますが、それは心底の思い、本心だったと思います。
二人の最近の対戦成績は、2003年以降はずっと羽生の勝ち、なんと三浦にとっては10連敗。
羽生から一つの勝ちを上げることが、一流棋士にとってもどれほど困難な難業であるかを皮膚感覚で知っている一人なのです。

2003年 2月5日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第61期順位戦 A級 8回戦
2003年8月31日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第24回日本シリーズ 本戦 2回戦
2003年9月15日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第29期棋王戦 本戦 3回戦
2004年1月27日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第17期竜王戦 1組 ランキング戦 1回戦
2004年9月30日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第63期順位戦 A級 3回戦
2005年 5月9日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第76期棋聖戦 本戦 決勝
2005年8月18日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第64期順位戦 A級 2回戦
2007年 3月2日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第65期順位戦 A級 9回戦
2007年 8月6日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第66期順位戦 A級 2回戦
2010年2月23日 ○ 羽生善治 三浦弘行 ● 第51期王位戦 白組 1回戦

直前のインタビューで三浦は、バンクーバーオリンピックの浅田真央選手の勝負を控えた際の猛練習をテレビで見て深い感銘を受けたと語っています。
「私は浅田さんほど真摯に将棋に取り組んできただろうか?」、猛練習で知られる三浦にしてこんな思いが頭をめぐったと言います。

この七番勝負の最中、三浦は対局直前まで練習相手を見つけて練習に励んでいました。面白かったのは、封じ手の所作の練習まで行ったといいます。

結局、一勝も挙げられず、また封じ手を行うこともなく連敗の黒星を重ねてしまったのですが、終盤に羽生の手を振るわせた大接戦、「自分の力を出し切って白熱した将棋を見せてファンに恩返しをしたい」としていた彼の思いは名人戦記譜速報からビンビン伝わってきてファンを唸らせました。

これから将棋世界で各局の分析がなされますが、それもじっくり楽しみたいと思わせる名局のシリーズでした。

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コメント

あくまで印象ですが、羽生名人は、横歩取り系の将棋について、もちろん研究が行き届いていているのは当然として、それ以上に大好きなのではないでしょうか。第2局で三浦八段に指された新手を、数日後対丸山戦で今度は自分で指したりしています。85飛車戦法系の駒の動きは、チェス的な感じがします。羽生名人はチェスからも何かこの戦型のインスピレーションを受けているのではないでしょうか。いずれにせよ、実は、三浦八段は名人の最も得意なフィールドで戦ったということのように思えてなりません。

投稿: jean-claude | 2010年6月 3日 (木) 07時04分

jean-claudeさん

将棋というものをどのようにとらえるかで、横歩取り系の将棋に対する好き嫌いははっきりすると思います。

将棋には、勝負・芸術・理論という側面があると思いますが、横歩取り系の将棋は一手の価値が大きく、勝ち負け以前に将棋を理論的に探求するのが好きな棋士にとっては、楽しい戦いなのでしょう。
三浦八段もそのひとりだと思います。

苦しそうな表情をしながら、のめりこんで考えている二人の表情は印象的でした。

投稿: rtf | 2010年6月 3日 (木) 22時29分

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