コンピューターシステム「あから2010」、清水女流王将との戦いを振り返る
コンピューター将棋が発達したことによって、将棋というゲームの楽しみ方に厚みが増してきた。嫌がらないので一局の将棋の手順を戻して指しなおしたり、変化手順に入って検討をするというのにも不平を言わず相手をしてくれる。
もちろん今年の大きなトピックは清水女流に勝った戦い、「コンピューター将棋、女流王将に勝つ」という記事がその戦いを振り返っていて楽しい。
「あから2010」というコンピューターシステムは、4つの異なる将棋ソフト「激指」「GPS将棋」「Bonanza」「YSS」が選択した指し手を受け取り、最も多い手を最終的な結論とする“合議制多数決”システムだ。演算にはインテルのXeon 2.80GHzなどを搭載した計166台からなる東京大学のクラスターマシン、およびバックアップ機など計208台のコンピューターを使用、 2007年3月、フリーソフトの「Bonanza」がトッププロである渡辺明竜王を相手に善戦したときと比べても何十倍も強くなっているように思える。
面白いのは、この合議システムで各ソフトが持っている投票権の票数が異なること。当然、持ち票の多いプログラムの指し手が採用されやすくなる。今回の持ち票数は「激指」(バックアップ機稼働分)の2.9票が最多で、合計で9.0票だったようだ。
民主的な合議ではなく実力主義というか株主による株主総会のようなシステム、これも新しい。人間同士だとこの実力主義には不満も出るだろうが、コンピューターだと怒らない。コンピューターの特質に合ったシステムだ。
結果として、人間のプロでは選択肢から外された指し手も投票で選ばれ披露された。
このようなコンピューター新手に対して、プロ棋士の判断を見るのがまた楽しい。将棋というゲームは、局面によっては選択が全く無いという場合もあれば、選択が多くてわからないというケースもある。そのような選択の多い場面でコンピューターが選ぶ手は中々興味深い。タイトル戦などでそのような局面で「あから2010」を解説者に加えてもらったりするのもありかなぁ。
「あから2010」をもっと発展させて、将棋を見る楽しさを広めていってほしいものだ。
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