ゴールデンウィークでもあり,ゆっくり新聞を読めましたので今朝の朝日新聞の社説に載っていた「戦後からの脱却より発展を」について考えてみたいと思います。
題材は明日満間60歳を迎える日本国憲法です。
60回目の記念日を迎える環境は、これまでとはだいぶ違う。時の安倍首相が「改憲を政治日程に乗せる」と明言し、7月の参院選挙では争点にしたいと意気込んでいるからだ。 そのための手続き法である国民投票法案が、間もなく国会で成立する運びだ。これだけ空気がざわつくのは初めてのことだろう。
なぜ憲法改正が必要なのかという点について安倍総理(社説では安倍氏)は雄弁に語っているのですが.そのポイントは次のようなものですと社説は整理しています。
1. いまの憲法は占領時代に、GHQ(連合国軍総司令部)の素人が短期間で書き上げ、日本に押しつけたものだ。時代は移り、9条など現実にそぐわない条文も出てきた。
2. 国の基本法である憲法を、国民自らの手で白地から書くという決意と精神によって、この国に改革の気概がみなぎってくる。そうすることで精神的に占領を終わらせることになる――
一方お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光さんの、ベストセラー「憲法九条を世界遺産に」をとりあげ、憲法の制定過程についてこう語っていると伝えています。
「日本人の、15年も続いた戦争に嫌気がさしているピークの感情と、この国を二度と戦争を起こさせない国にしようというアメリカの思惑が重なった瞬間に、ぽっとできた。これはもう誰が作ったとかいう次元を超えたものだ」
「この憲法は、敗戦後の日本人が自ら選んだ思想であり、生き方なんだと思う」
社説がこの二つの考えを対比して,さぁどっちだ? と読者に投げかけているわけです。
そして安倍総理の戦後に対する見方は「戦後レジームからの脱却」という否定的なものであるのに対して、一方の太田さんは戦後日本社会に対する肯定的な視線であり、楽観主義だとしています。
この戦後に対する見方の違いは二人の立場の違いから有って当然でしょう。安倍氏は総理または政治家として国際社会に対峙していく中で九条の枠組みのために日本の国益を削がれてしまった経験が何度もあるのでしょう。 ちょっと考えただけでも対中国・対韓国との交渉や拉致問題だってそのうちのひとつでしょう。アメリカの国債を買い続けていかざるをえない状態に置かれている不利な経済的立場だってそうでしょうし基地問題もありますね。
一方太田さんは政治経験は無く観念的にしか見えていないわけです。
ただ今の日本にいわゆる国益を守るために戦争を前提とした強い交渉は効果があるものなのでしょうか? 拉致問題のために北朝鮮にミサイルを撃ち込むでしょうか?
また戦争のためにお子さんを派兵するご両親はその覚悟ができているのでしょうか?
現代において戦争手段があまり効果の無いものとなっていることはイラク戦争を見ると明らかです。それもアメリカほどの規模をもってしてもです。イラク戦争はアメリカの軍需産業や石油メジャーの利益のために行っているとしか思えません。そのために何千人もの兵士がなくなっているのです。
日本は平和憲法を逆手にとって,戦争をせずに国際社会で渡り合っていく図太さを持てば良いのではないでしょうか? もちろん核の傘の下の費用はかさむかも知れませんが長い眼で見ればそのほうが有益だと思います。軍事よりも今後は文化・技術が戦力になると思います。そちらで戦っていけないでしょうか?
姜尚中教授は「日本はファジーのままで今まで歴史的にうまくいっていたのだから,政治的に見ればあえてその流れを変える必要は無い。」と言っています。この考えに大賛成です。
彼は著書「姜尚中(カンサンジュン)の政治学入門」 の中で掘り下げている七つのキーワードで「不完全国家」を取り上げています。
「不完全国家」
国家の国家たるゆえんのひとつに主権的な暴力をどのように行使しまた統制するかという問題があります。日本は軍事力を持ちながら永年にわたってそにに箍をはめてきました。そのことを指して一人前の国家ではないと主張する人達がいます。一人前ではないということはつまり「不完全国家」であるということです。
完全だから良い不完全だからいけないという単純な考えを凌駕して実質的な国益を考えるのも政治の一つの選択肢とも言える。そのような奥行きのある社会が日本の特長かもしれませんね。

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