書籍・雑誌

「月刊松山」に、やしきたかじん登場・松山千春と語る


これは濃い雑誌にたかじんが登場していますね。「月刊松山(vol.006(2008 Ju)」、松山千春の自作・責任編集の月刊誌、書店でチラッと覗いてみようと思っています。

●松山千春からのメッセージ!
今から約160年前。 ドイツでひとりの哲学者が脚光を浴びていた。 その名は、マックス・シュティルナー。
極端な個人主義を軸とする哲学を展開した男だ。 彼は1844年に出版された著書 『唯一者とその所有』のなかで、次の一文を書き記している。 「孤独は知恵の最善の乳母である」
ときに孤独は知恵を育むが、 共存の精神と明日を夢見る活力は、追憶の家のなかにある。 さあ、帰ろう。 我家に。
もう一度、この場所から始めてみよう。 虚しさを拭い去るために--。 松山千春

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エゴイスト by 桐生典子


桐生典子さんの「エゴイスト」、実は読み始めて気づいたのですが、著者をずっと桐野夏生さん桐生夏生さんと勘違いしていました。なぜか「桐」という漢字が印象的でややこしい?

ということで、勘違いから入った読書だったのですが、内容は女性の性を描いたもので結果的にとても興味深い一冊でした。

優等生の仮面の下で売春する薫子、視線に淫する芙紀、高校中退後、肉体 労働を続ける宏幸の性。そして二十二年前の倒錯した記憶に囚われている三人の父親―幸福を装う家族がそれぞれのエゴと本心を剥き出した時、欲求不満の哀し みを秘めていた母親も静かに狂いはじめる…。五感にしみる官能と陶酔に満ちた傑作サスペンス短編集!

このような紹介文が書かれていますが、セックスを通して女という生物を解体していく体験実験・思考実験という感覚に襲われました。自分の体を知っている女性自身が、自らの直接的な生理感覚で分解していく。それは、女性経験の豊富な渡辺淳一さんが、例えばシャトウルージュのような作品を通して女性を分析するものとは、また一味違ったものとなっています。  

印象に残っているシーンは、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」を弾きながら結果的に不特定多数の男に体を預ける杏子というピアニスト。とても魅力的に描かれていながらミステリアスな雰囲気のうらに彼女の過去が重なり謎が深まっていきます。

もうひとつは、ジョージア・オキーフの「黒のアイリスIII」という絵画をひとつのモチーフにして女性の性を切り取っていく「抱かれて」という作品。
 ....「オキーフの絵が好きなのは、厳しいくらい簡潔でしかも官能に満ちているからよ。ね、アソコって考えようによっては、瑞江さんがいうように力強くて威厳があって、壮大なものかもよ。なにしろ命が出入りする場所だし、快楽の神経が集中しているところだから。ね、そうでしょ?」....
その後二人の女性の会話は、「エロスとポルノの区別もつかないんだから...」となっていくのだが、その区別がきちんとつくひとってどんな人なんでしょうと考え込んでしまいました。

「快感」を神からプレゼントされた人類、そのチャンスを徹底的に追及していく著者の作品には、今後も手を伸ばしてみたいと思っています。

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アルファブロガー(Alpha Bloggers)

すごいブログを書いているブロガーを「アルファブロガー」とはじめて命名した記念碑的な本、まぁどんな内容か大体の想像はついていましたが、期待を裏切らない内容でした。 2005年の10月発刊、この流れの速いネットの世界では、すごく昔のような印象を受けてしまいますね。

今回この本を手にしたのは、この三年間の急速な流れを経てアルファブロガーのその時と今を辿ってみたいと思いました。

ベストイレブンとしてインタビューが紹介されていた11の現状のブログを訪れてみました。

 

ネタフル ネタフルの経験をもとに「クチコミの技術」というブログマーケティングの本を執筆しました。(5)

百式 2000年1月20日開設。海外のユニークなドットコムサイトを日替わりで取り上げています。 (6)

極東ブログ ブログはもっとホットで無防備なメディアです (4)

Ad Innovator 広告の近未来、メルマガ大賞、部門No.1に輝く、最新広告手法について (4)

R30 「メディア批評」 どうも最近記事が途切れ途切れのようです。(3)

isologue by 磯崎哲也事務所」は、ネットやビジネス、経済に関わることについてコメントするblogです。(5)

on off and beyond by 渡辺千賀 どうも最新ホームページが消されています (2)

NDO::Weblog by 伊藤直也 2005年7月を最後に更新されていませんね。(5)

情報考学 Passion For The Future 書評、ソフトウェア評、日々雑感 橋本大也 (5)

切込隊長BLOG~不滅の俺様キングダム~ (4)

My Life Between Silicon Valley and Japan 梅田望夫 , rtfがリンクさせていただいている唯一のアルファブロガー (5)

 R30, on off and beyond, NDO::Weblogの3サイトが更新が途切れていたりHPが消されていたりしています。トップブロガーだった約30%弱が、現在ブログを離れているというのが実体ですね。何れの方も才能にあふれている方ばかりですので、ブログを離れて他の情報発信に切り替えたのかそれとも情報の発信を止めたのかのいずれかですね。

紹介欄の最後のカッコ内の数字は、Googleのページランクです。さすがに何れのサイトも4以上で、最高は百式の6でした。

今回各サイトを訪ねてみて面白い話題にめぐり合いました。これからももう少しアルファブロガーに注目して読んでいってみたいと思っています。

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「夜はやさし」、綿矢りささんの書評を辿る

 『夜はやさし』(フランシス・スコット・フィッツジェラルド)の書評綿矢りささんが書いています。「グレート・ギャツビー」で知られているフィッツジェラルドの生前最後の作品、栄華を極めた主人公ディックが年月の経過と共にゆっくりと疲れてゆく過程が描かれている小説。著者自身の生活と重なっていたようだ。

この長篇(ちょうへん)は読んでいると、釣り糸によって後方に引っ張られるような妙な感覚になる。ディックと妻の生活を追う文章が何気なく始まり、彼らの周囲で衝撃的な事件が起きるといったん完結し、また夫婦の話が次の事件まで続く、という運動が繰り返されるからだ。
(中略)
人をもてなしたり喜ばせたりするとき、人は自分も気づかないうちに、相手にお世辞やプレゼントだけでなく、もっと貴重な、目に見えない大切な何かを分け与えている。打算のない気前の良さには魂も共に込められているのだ。

彼女の読書の範囲は幅広いが、いずれの作品にも底に流れるある種の悲哀のようなものが感じ取れる。 「最後までどこかおっとりしたままの人物像には、どんなに高い身分もお金も美しさも追いつけない気品がある」と締めくくる彼女には、ある種の分かり合える感情がよぎっているのではないでしょうか。

 たまたま今日の週刊ブックレビューで書評家の丸谷才一さん(近著の話題作「蝶々は誰からの手紙」) が、「(書評も含む)批評というのは、生きる力の更新」とし「特定の好きな書評家を持つことは、読書にとって実り多いこと」と述べていた。rtfも五木寛之さん・村上龍さん・高樹のぶ子さんそしてこの綿矢りささんの書評がとても参考になっている。年代を超えて、ガイド役にとても頼もしい存在である。

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「ふるさとへの手紙」 by 綿矢りささん

Wataya 朝日新聞に、久々に綿矢りささんが登場しました。「ふるさとへの手紙」という連載コラム。副題にもっと知りたい京都市とあります。
02年に早稲田に入ってから東京に住んでいるのですが、最近は東京と京都を行き来しているとのこと。
そして最近は京都にいるほうが多くなってきていると言っています。文章を京都で書くのと東京で書くのでは微妙に違ってくるとか。
確かに綿矢さんには京都のほうが似合うような気がします。ひとつのフレーズで感情を切り取って表現する彼女、その感受性は京都ならではと思います。御所に行ったことがなかったと信じられない京都地元音痴ですが、例えばこれから京都再訪のような彼女のエッセイ読んでみたいですね。
彼女の飾らない表現で感じるまま伝えてほしいものです。

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楽しい古事記 by 阿刀田高

一時的にマイブームになっている古事記ですが、多角的に研究する目的で阿刀田高さんの書いた「楽しい古事記」を読みました。

イザナギ・イザナミの国造り、アマテラスの岩戸隠れ、八俣の大蛇。伝説の主役たちが、嫉妬に狂い、わがままを言い、ご機嫌をとる―。神々と歴代の天皇が織りなす武勇伝や色恋の数々は、壮大にして奇抜、そして破天荒。古代、日本の神さまはとっても人間的だった!「殺して」「歌って」「まぐわって」。物語と歴史が渾然一体となっていた時代、その痕跡をたどり旅した小説家・阿刀田高が目にしたものは!?古事記の伝承の表と裏をやさしく読み解いた一冊。

と紹介文がありますが、とてもうまいサマリーで、日本の起源の根幹を語る書としての古事記の楽しさを現しています。ぶっちゃけ、日本を興した神々ってとっても人間的というか、本当にこんなのでいいの? という感じですね。 今神社やお寺に行くと意を正して冷厳な感じを抱くのですが、それとはまさに逆で身近な神々で親近感さえ感じてしまいましたね。

阿刀田高さんは、この古事記にちなんだ土地土地を訪問しながら物語を紐解いていくのですが、それがまた楽しい。
たとえば「岩戸神楽」、宮崎県高千穂町。
アマテラスの岩戸隠れの前でウズメの命が踊ったという故事、それを淵源として誕生し伝承したとされる神楽舞だそうです。本筋の岩戸神楽は一番から三十三番まで踊り夕方から始まって夜を徹して明け方まで続くのです。その中には、アマテラスの両親のイザナギ・イザナミがいかに睦まじい仲だったかをエロチックに踊り、観客席になだれ込んだり、ウズメの命がかわいらしく踊ったりというものなのだそうです。なんとも身近な神々ではありませんか。

●ダウンロードは、コチラから→楽しい古事記

ちなみに高千穂は、天孫降臨にもちなんだ場所。阿刀田高さんと同じようなあのユーモラスな知事が道案内しています。こちらも古事記の雰囲気を伝えているかなぁ?

天孫降臨
天孫降臨1
天孫降臨
天孫降臨2

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古事記の原風景


最近古事記がマイブームのため、続けて関連本を読んでいます。古事記の原風景--神々が宿る悠久の大地(文: 伊藤ユキ子、写真: 古川誠、牧野貞之)は、「美(ビジュアル)日本」というシリーズで写真をメインに歴史に関連する土地を紹介するものです。それと、古事記という最古の文献のエッセンスを捉えることが出来ます。 この文と写真の組み合わせにより、今まで縁遠い存在だった古事記が生々しく迫ってきます。そもそもこの物語は、神や天皇が主人公ですが、どうも彼らの行動はとても人間くさいのです。嫉妬あり恋愛あり闘争あり。現代の人間から見ても、行動の起点はほとんど変わらないのです。
そういう意味では、なかなか優れた物語であり、著者となった稗田阿礼(ひえだのあれ)と太安万侶(おおのやすまろ)という二人の読ませる文才・才能にもっと光をあてて調べてみたいと思っています。 

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「古事記の起源」 by 工藤隆


「古事記」という想像もつかない書物の解説本を読むのははじめてだった。なにしろ国文学というと、目をそらした態度をとっていた。
 ふとしたきっかけで、この書を手にとって読み始めこの実体不明な古文書がさらに自分゛にとって異様なものであることを知った。

たとえば、イザナミという女神の死と排泄物が新たな神を生み出すという話。嘔吐物・クソ・尿といったものから金属の神、水の神、食べ物の神といった存在が作られる。
また性行為に伴って島々やさまざまな自然物が生み出され、その最後の生成行為に火を生み出し死に至るといった話、不思議と生臭い神話の世界。

700年代、中国から新たな文化が流入してくることで「古代の近代化」が起こる機運の中で、神話時代への回帰エネルギーと天皇の神格化を狙ってこの古事記が編纂される起源になったと著者は総括する。

そしてこの本のもっとも独創的なところは、中国雲南省の少数民族に現代において、いまだに残る無文字時代の文化=「原型生存型文化」を調査し、口伝えに継承されている神話、具体的にはイ族創生神話「ネウォティ」を分析、その成果から古事記で描かれている無文字時代の神話に新たな解釈を与えている点である。

歌垣という行事も、日本・アジアに昔からあったようで、現在のアジアの歌垣を実際に分析している。

古代日本における歌垣は、特定の日時と場所に老若男女が集会し、共同飲食しながら歌を掛け合う行事であり、性の解放を伴っていたとされる。語源は「歌掛き (懸き)」であり、東国方言の「かがい(嬥歌)」も「懸け合い」に由来すると考えられている。時期としては春秋に行われ、生産の予祝・感謝としての性格を 持っていたとされる。場所は、山頂、海浜、川、そして市など、境界性を帯びた地が多く、常陸筑波山、同童子女松原、肥前杵島岳、摂津歌垣山、大和海石榴市、同軽市などの例がある。

海彦山彦神話も面白い。

弟のホオリノミコトは兄のホデリノミコトには互いに釣り竿と弓矢を取り替えてみようと提案しました。そして,兄は山へ,弟は海へ出かけました。しかし,二 人とも獲物をとることはできませんでした。そこで兄は弟に「やはり本来持つべき物を持って,本来の場所へ出かけないと何も得られないから,道具を返すこと にしよう。」と言いました。ところが,弟は魚がとれないばかりか,兄の大切な釣り針を海でなくしてしまっていたのです。それを聞いた兄は激怒してしまい, とにかく返せと責めてきました。そこで,自分の剣(十拳剣:とつかのつるぎと言われる剣)をこわして500本の釣り針を作り,それを持って行って償おうと しましたが,「なくした釣り針以外はいらない。」と言って許してはくれませんでした。

この神々のなんとも幼いともいえる話について、実はインドネシアに類似の神話があるそうだ。この原神話を伝えたのは隼人族で、紀元後3-5世紀に天皇士族と接触して伝えたのではないかとしている。 このように「古事記神話」が、ごった煮的神話で、いろいろな策略のもとに作られたものではないかと考えており、国や権力を争っていた背景が色濃く反映されている書物として生き生きと伝えられている。古代に思いを馳せらせるとても興味を引かれる一冊だった。

[Ref] 工藤隆HP

 

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綿矢りささんが読売新聞の書評委員に

「夢を与える」から、小説をまだ書いていないりささんですが、読売新聞で書評を書いていることを知りました。彼女の文や記事に触れるのは「綿矢りさ x 篠山紀信 in 論座」以来かもしれません。 

いままでの、書評は下記のとおりです。

『失われた時を求めて 第1巻』マルセル・プルースト ステファヌ・ウエ 中条省平

『きみを想う夜空に』ニコラス・スパークス

『やっぱり危ないタミフル』浜六郎

『ペットサウンズ』ジム・フリージ/村上春樹訳

その中から、いくつか彼女らしい表現を拾ってみます。

 

本書を読んでから「ペット・サウンズ」を聴き直した。アルバムの歴史的価値やブライアンの人生を知ったからというよりは、60年代という時代に憧(あこが)れを感じたからだ。ビートルズやディズニーランドが生み出され、サーフィンの流行った時代。60年代に対して私は、さびしくない日暮れ、空を暖かい色に染めるたっぷりした夕陽のイメージを持つ。特に「素敵じゃないか」という曲を聴いたときに、一度聴いたときよりも陽気なメロディのなかに儚(はかな)い美しさを見つけて胸を打たれた。.....「ペット・サウンズ」

彼女独特の乾いた表現で、はかなさを描いています。

登場人物たちのアメリカン・ジョークが、くすぐったくて懐かしい。ちょっと肩をすくめる仕草が似合うような、しゃれた会話。昔好きだった吹替の青春ドラマをもう一度見ているような気分になる。複雑な恋愛模様ではなく一組の男女の恋だけを追う。きっと著者が、特別で刺激的な恋愛こそ描く価値がある、と思っていないのだ。....「君を想う夜空に」

なんとなく彼女自身のことを書いているように思えます。

プルーストのコミック版の書評では、そうそうに小説版を読み始めて断念してしまったことが正直に書かれています。そして面白いことに、気になっていたフレーズだけを探してページを捲ったとか。これもなんとなく彼女の面白いところが現れていますね。彼女のサイン会で、人となりに短い時間触れただけですが、この短い書評からその時の彼女の印象が思い起こされてきたのでした。

これからも、彼女の書評やどんな本を取り上げるのか楽しみです。

大学生のとき、原作をわくわくしながら読み始めて、早々にあきらめた。難しかった……。それに長い。著者プルーストの自伝的小説なのだが、彼の人生が全十三巻分(集英社文庫刊)のドラマみたいだったわけではなく、彼が自分の内的世界のことを、綿密に綿密に書いた結果、長大な物語になった。だから読んでいる方も感覚を研ぎ澄ませ集中して読まないと、作者の考えていることがすぐ分からなくなってしまう。

 結局、「マドレーヌ」の文字だけを探した。あの有名な「マドレーヌを紅茶に浸したときに過去の記憶が膨大な量でよみがえってきた」の箇所(かしょ)だけを読むためにだ。見つけてから、これは本当にすごい本なんだと確信した。だって有名なところだけ読んでも意味が分からない。 ....『失われた時を求めて 第1巻』

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「世界を変えた6つの飲み物」--飲物が語るもうひとつの歴史

世界を変えた6つの飲み物」は、 大変興味深い内容でした。ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コカ・コーラといった今広く行き渡っている飲物が歴史の中で必然的に発見?されたり発明されてきたのですが、逆にもし、これらの飲み物がなかったら、エジプトのピラミッドも、ギリシア 哲学も、アメリカの独立も、フランスの市民革命、イギリスの産業革命・金融革命も形を変えていたかもしれないとも言えると著者は語っています。

約700万年前、人類として狩猟をはじめてきた生活が紀元前一万年ころの最後の氷河期の終わりに、野生の穀物の群生に沿って定住生活を始めるのです。そしてこの長い歴史の中では突然のように農耕をはじめそして200-300人の共同体が形作られていきます。場所は肥沃三日月地帯(現在のエジプトからイランイラク、トルコの一帯)ですね。

そして穀物を貯蔵することになり偶然発見したのが、ビール。穀物が水に浸かり発芽しジアスターゼという酵素による甘みが出ることを発見します。さらに穀物の薄いかゆ、特に大麦麦芽を数日間置いておくと軽い発泡性の液体に変化し飲む者を軽く気持ちよくさせることに気づきます。大気中の酵母によって液体に含まれる糖がアルコールに変化したのです。この発見がビールだったというのです。

この大発見のあと、人類の美味への探求心がどうやったらもっと美味しい味になるかの工夫が始まり質の向上に努めていったのです。

のちの時代のエジプトの記録には、17種類ものビールの記述があり、今のようなキャッチフレーズ、「美と善」、「無上」、「食事の伴」といった名前が付けられていたとか。

またメソポタミアの醸造職人たちは、バッピアと呼ばれるビール・パンの量を変えることで味と色を変えることが出来ることも発見。調整の技術を見つけていったのでした。

ビール以外のワインやコーヒーなども歴史に彩られた飲物で、大変興味深くまた勉強になりました。

ささやかな飲み物が、人類を駆り立て、歴史 をつねに動かしてきた、その原動力となったことに驚きを隠せない一冊でした。


プロローグ 生命の液体                    

 第1部 ●メソポタミアとエジプトのビール
  第1章 石器時代の醸造物
  第2章 文明化されたビール

 第2部   ●ギリシアとローマのワイン
  第3章 ワインの喜び
  第4章 帝国のブドウの木 

 第3部   ●植民地時代の蒸留酒
  第5章 蒸留酒と公海
  第6章  アメリカを建国した飲み物

  第4部   ●理性の時代のコーヒー 
    第6章 覚醒をもたらす、素晴らしき飲み物
   第7章 コーヒーハウス・インターネット

第5部 ●茶と大英帝国                        
 第9章 茶の帝国
 第10章  茶の力

第6部 ●コカ・コーラとアメリカの台頭                
 第11章 ソーダからコーラへ
 第12章 瓶によるグローバル化 
 
     エピローグ 原点回帰             
   付録・古代の飲み物を探して 

スタンデージ,トム(Standage,Tom)
歴史家。『エコノミスト』誌のエディター。『ガーディアン』『デイリーテレグラフ』『ワイアード』など、多くの新聞・雑誌にも寄稿。ロンドン近郊の街、グリニッジに在住

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「頭脳勝負」-渡辺明、将棋の魅力に迫る

渡辺明竜王の著となる「頭脳勝負」--将棋の世界を読みました。 最初に、「はじめに」で書いていますが、「棋士の渡辺です」と自己紹介で言ったときに、「ん、棋士って」ということが良くあるようで、将棋を職業にしていること自体なかなかポピュラーになっていないわけです。

そんな将棋にのめりこむプロの世界の魅力をなるべく平易にという目的で書かれています。 その目的は見事に達成していると読み終わって感じました。   一応将棋をゲームとして楽しんでいるものにとっては、その魅力というのは浅いながらも分かっているわけで、この本は渡辺竜王が如何に将棋の魅力を掘り下げていくかに注目していました。

まずボナンザと戦った時を振り返っての感想、「私はトッププロがコンピューターに負け越す日が来るとは思っていません。今回の勝負、傍目には辛勝に見えたかもしれませんが、当事者にとっては余裕がある一点差という感じでした。」 また「絶対に負けられない勝負より、変な表現ですが、負けてもおかしくないと認知された状況での勝負のほうが戦いの幅が広がるということがあります。」 (94page)

この気持ちよく分かりますよね。将棋は、下手が勝ちやすいゲームだと思います。
今のソフトについては奨励会の2~3段にはなっているとの認識のようで、これは以前の「コンピュータ将棋の頭脳」..小谷善行の評価とほぼ同じですね。一回の勝負では分かりませんが、トッププロの面々に勝ち越すというのはとっても難しいとは思えます。ただそれを目指してソフトの開発もがんばって欲しいですね。

エピソードで面白かったのは、挑戦者として挑んだ竜王戦の7番勝負の最終局を前にしての研究会で考慮中に新手を発見していたとのこと。(129page)
ただその手を披露してしまうと、伝い伝わり相手の森内竜王の耳に届いてしまうことを恐れ、胸の中にしまっておいたのだそうです。このあたり情報戦になっている現代の将棋界の様子がわかって楽しめました。

また将棋雑誌のクイズから升田幸三九段の将棋に興味を持ち、古書を探しまくって研究したとか。(130page) rtfも若いときに「升田将棋の世界」を買って読みふけった記憶があります。こんな共通体験があると身近に感じてきました。 今後も竜王の防衛のみならず他のタイトルにも挑んで新手を披露してほしいと思っています。

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将棋「駒のささやき」

 
  --将棋駒の魅力とその世界--とサブタイトルの付いている「駒のささやき」という、将棋の駒の世界を描いた名著。偶然に県立図書館で見つけて思わず借りて隅々まで読んでしまいました。 将棋駒研究所という北田義之さんが会長を務める自由な研究会が、駒研出版会として1996年11月20日に出版し版を重ねて2003年第四版発行されています。
 編集後記のなかで、増山雅人さんが---「駒作りによる、駒作りのための、駒作りの本」つまり、駒作り仲間が自費で製作し、駒作りの方法や記録、それに楽しさを、本を読み写真を見てもらうことで、多くの人に知ってもらう---というコンセプトで作ったと書いていますが、見事な出来だと思って感動しました。
ただインターネットで調べたら、残念なことに、この駒研出版会versionはどうも絶版になっているようでした。
代わってこの写真の日本将棋連盟版 (駒研出版会が版権を渡したのでしょうか) が楽天に載っていましたが、これも5000円という高額ながら全て売り切れでした。 ということでいかにこの本が、この世界で受け入れられているのが思い知られるのですが、調べていくとDVD版 -駒のささやき・ビジュアル版-が駒研から出されていることが分かりました。
 それと嬉しいことに、ハンディ版になるのですが「将棋駒の世界」として簡易版がありました。まだ読んでいませんが読者のコメントを読みますと、こちらもなかなかの名著のようです。 rtfも、ついに今年盛上げ駒で書体が金龍(香松作)のものを購入しました。日々使った後は乾いた布で拭くのですが、その時間が心が癒される時間となっています。 将棋の世界、単なるゲームといえばそれまでなのですが、奥の深い世界なんです。この深さを覗いて追っていくのも楽しみの一つです。

「駒のささやき」

B5判・上製本・函入り224ページ(カラー32ページ)

◆主な内容

・プロとアマの駒作品(カラー)
・将棋駒の歴史と変遷
・駒の作り方(駒木地・道具・実践)
・駒の書体の種類
・駒の見方・選び方
・買うための目安
・盤の見方・選び方・買い方
・駒箱の見方と作り方etc.

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あいまいな日本の私、大江健三郎

今なぜか、大江健三郎さんの本を手にしています。氏が1994年にノーベル文学賞を受賞してから十年以上経過していて、はじめてその受賞記念講演「あいまいな日本の私」を読むのも、ひとえにブックオフでこの本を100円で手に入れたからです。

大江さんの本を手にしたのは、同時代ゲームを20年以上前に、読み終えずに途中で投げ出して以来のことだったと思います。

 今回、あらためて大江さんのお話のユーモアや思慮の深さに感銘を受けています。これは有名な話ですが「あいまいな日本の私」というタイトルは川端康成さんのノーベル賞記念講演「美しい日本の私」からインスパイアされて付けたものです。そして日本に顕在する「あいまい」とは、「国家と人間をともに引き裂くほど強く鋭いこのあいまいさは、日本と日本人の上に多様なかたちで表面化しています」と記しています。

このあたりの意味について、十数年前の自分には理解力が無かったかなぁと思いました。それなりに社会生活を長く続けそして日本に暮らしてきた今、なんとなく分かるような気がします。

さらに読み進んでいっていますので、気にかかったところをピックアップしていきます。

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